功力というのは中国武術に必要な体の完成
中距離戦闘では相手と僕の体の一部分が接触している。 この状態ではボクシングのようなステップを踏むこともできず、退くことも難しい。 だからといって、柔道やレスリングのように相手の腰を抱えてタックルできる距離でもない。 相手と体が接触した状態では、社交のダンスを踊る時のように、相手との気が合わなければならない。 ダンスを踊ることは相手と肯定的な呼吸を合わせることだが、中距離戦闘では相手との否定的な呼吸さえ自分に有利な要素に引き込まなければならない。
短くなった距離のためにボクシング式のパンチが使えなくなる「中距離戦闘」は、異なる概念の打撃法を考案するが、まさに体をテコのように使い、体の全体で打撃を行う方法だ。 「体で打つ」という言葉が中国武術には最もよく似合う。 中国武術の関節技には、単に相手を折って締めることを超えて打撃の概念が入っている。
体をテコに使う時に軸になる部分が関節で、最も重要な軸は骨盤と肩の関節だ。 中国武術は常に肩と骨盤の「鬆」を強調している。 このような原則は太極拳と八卦掌などの内家拳の武術に顕著に表れている。 肩と骨盤が十分に柔らかくなければ、「軸」としての役割を果たせない。 陳家太極拳は、このような部分には配慮し、体系化させた。陳家太極拳の套路の演武で見られる下半身の広い姿勢は、まさに中距離戦闘をするという宣言だ。
骨盤と肩の緩みが重要な理由を検討してみよう。
骨盤は人体のバランスを取る役割をする. 自動車のスプリングのように衝撃を吸収し、歩行の時のバランスを取るのは骨盤だ。 骨盤が僕のバランスを取るように、僕の体が外部と接触した時、外部の物のバランスも知らせる役割をする。 相手と僕の体が接触している時、相手の力の方向が僕の体に伝わってくるだろう。 力に方向が生まれたということは、バランスが崩れたという意味であり、相手のバランスが崩れた感じが僕に伝わってくるものだが、これは最終的に人体のスプリングであるじ自分の骨盤から感じられる。
太極拳の推手では聽勁と化勁を練習すると言うが、結局、相手と僕とのバランスを感じさせるのだ。 太極拳の聽勁の訓練は「極端なバランス感覚」を体得するためのものだ。相手が僕を指で叩いたら、僕のバランスは崩れるだろうし、その崩れたバランスの感じは最終的に骨盤で感じるようになる。 相手と体が接触している時、相手の力と攻撃がどこに流れるかを予測するのは、骨盤でスプリングの作用をするからだ。
骨盤のバランス感覚は推手の以外にも梅花樁の修練などを通じて増進させることができる。 梅花樁とは柱の上に立って長い時間バランスを取る練習のことである。 よくこの修練は俗説では肌を敏感にするということだが、肌が敏感だということは正確に言えば、骨盤のバランス感覚が良いということだ。 梅花樁の修練を長くすれば、当然バランス感覚の体得とともに骨盤筋肉が弛緩する効果を得ることになる。 骨盤筋肉の弛緩が必要な理由は、相手と体が接触した状態で技術を展開しなければならない中国武術の独特な環境で必要な前提条件だ。
次は肩関節の弛緩だ。中国の武術で肩は、我々がよく知っている胴体と腕がつながる部分だけではない。 漢字では「膀」というのだが、膀胱を指す言葉ではない。 「膀」は肩と背中の肩甲骨の部位を指す幅広い概念だ。 中距離戦闘はボクシングのようなパンチが使えない距離だ. したがって、短い距離を相殺できる打法が開発されなければならないが、これがまさに発勁の打法である。(最近は発勁ではなく「発力,issuing power」という用語を使う。 力を出すというより幅広い概念だ。) 発勁に対する定義は多様だが、短い距離で相手と体がくっついている時を仮定して開発された打法だ。李小龍の1インチのパンチもやはり発勁の一種であり、中国の武術用語では寸勁と呼ぶ。 相手に打撃をするほどの十分な距離はないが、肩と腰の弾力を通じてボクシング以上のパンチ力を出すことだ。 「腕で打つ」というより「体で打つ」という言葉がふさわしい打法だ。 この時, 必要なのは弾力のある腰と肩甲骨だ。
ウエートトレーニングは現代スポーツの基本だ。 スポーツでは球技種目と陸上種目をあわせてすべて各自の特性に合ったウエートトレーニング法を開発して使っている。中国武術ではウエートトレーニングをしないと言われているが、昔から多様なウエートトレーニング法が開発され、使用されている。 ウエートトレーニングを中国武術では「外功鍛錬法」という。
外功の鍛鍊は特に「內家拳」から排除しているが、効果的なウエートトレーニングは必ず必要なのだ。 筋肉と靭帯が強くなければ達人でも力を出すことができない。 問題は、身体の部位別に専門的で機能的なトレーニングをしなければならないという点だ。 ウエートトレーニングを見逃した武術は、內家拳であっても気功の潮流と結合して神秘的な方向へ流れて、中国武術は健康には良いが実戦性のない体操と評価されるだろう。
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そして短い距離を相殺できる打法の一つが掌法である。 掌法は拳で打っていた人が手を伸ばして掌で叩こうという単純な発想の転換からくる打法ではない。 一般的な掌法は90%がこのようなパンチの変形に過ぎなかった掌法だ。 このような掌法は、パンチの原理のように使う類似の掌法に過ぎない。 パンチと掌法は原理が違う。 掌法の核心はその角度にある。
掌法は常に上から下へ、下から上へ角度がある。 拳法の打撃は,パンチを打つ時より相手との近い距離を想定しており,距離が近いため加速度をつける時は,ボクシングのストレートな直線上の距離ではなく,弧形で角度を与えて打撃を行うことで,加速度面で不利な部分を相殺することである。掌法は、手が開いていてすぐに相手を捕まえることができるので、関節技に早く切り替えられる。手のひらが開いている状態で相手をつかんだり、折ったりするのが容易だということだ。 しかし、この掌法は「膀」の力と弾力が非常に強くなければ効力を発することができない。八卦掌の走圈は、この「膀」と骨盤の柔軟さと弾力を練習するのにとても良い道具になる。
一つの武術を学ぶということは、その武術が目指す実戦における戦略を理解することだ。中国武術の戦略は中距離で打撃技と関節技を同時に使うことだ。 中国武術の戦略兵器は「功力」であり、功力の内容は上にあるとおり「強い肩甲骨、十分に弛緩した筋肉と靭帯、柔軟な腰と骨盤、「鬆」になっている関節である。 このような武器が自分になければ、中国武術の技術はまったく使えず、中国武術式の格闘はめちゃくちゃな打撃技とめちゃくちゃな柔術になる。 昔から中国には’小成には3年が必要である’という武言がある。 この小成の期間の3年は上記のような体の条件を作るのに必要な時間だ。
中国武術の多様な2人の練習
中国武術は試合をしないと言うが、練習体系の中には多様な相手の練習がある。この相手の練習は、相手と体の一部分が接触している状態で技術を展開するものであり、中距離戦闘技術を身につけるための最適の解決策を示す。
太極拳の推手と粘手は、相手と離されないようにすることを訓練する。 推手を通じて、相手の力がどこに流れるのか、どこへ行こうとしているのかを探知する。 中距離戦闘武術で使うのに適した独特な演習方法だ。
8.真正な異種格闘は間合いが違う武術
UFCを総合格闘技という。 この試合では打撃、レスリング、柔術をすべて使うことができる。 しかし、中国武術のように技術が有機的に結びついていない。 一つの試合でボクシングとレスリング、柔術を同時に行うのがMMAの本質だ。 バイキングに行けば、すべての料理があるようなものだ。 MMAでは長距離の間合ではボクシング、近ければレスリング、横になっては柔術を行うブバイキング式の試合であって、そのすべてが一つの原則の下でシステム化されていない。
武術における間合こそ最後の秘伝のようである。 技術と練習法はすべて公開され、一人でも練習が可能だが、「間合」は相手がいないと消えることのない時間的で空間的な概念だ。 これは、師匠がしっかり指導してくれないと一人では悟ることが難しく、知っているとしても実戦で多くの代価を払わなければならない。
中国武術の戦略
中国武術式戦闘をよくするには、まず中国武術は中距離戦闘という戦略を肝に銘じ、相手を自分のリズムに引き込まなければならない。 ボクシングやテコンドーのような長距離武術は、僕が相手に距離を縮めようとすれば、当然、速いステップを使って避けたり、逃げ出したりする。 中国武術では、この際使用する技術を「封」という。 相手を封鎖して逃げられないようにする。 代表的な封の技は、体の一部分をつかむか、足をかけておくことだ。 体の一部分よりは服を取る場合が多い。 サッカーの試合を見るように、服を掴むのが体を掴むことより効果的だ。 中国の武術の技術はもともと体よりも服を取るように工夫されている。 掴む手が多い中国武術は、手の活用度が高いだけにグローブをはめてはいけない。 現在、中国武術の散打の競技はグローブをはめるため、めちゃくちゃな打撃技となった。 中国の武術家がグローブをつけて競技をすれば、自分の技術のうち半分は使えない。
相手を封じる技術とともに、相手を初めて攻撃する方式が重要だ。 最初の攻撃方式には、一つの武術のすべてがある。 柔道では最初の対戦時に相手の襟をつかみ、レスリングではタックルを試みる。 そしてボクシングではジャブとストレートパンチを出し合い,相手の隙を見つけようとする。
中国武術では多くの流派がいるだけに、多様な「最初の攻撃法」がある。 例えば、螳螂拳と八卦掌では、目を突く攻撃をする。 目は鋭敏な部分なので、目に何か物体が近づくと、無意識に避けたり、手を上げて防御をする。 このように相手の手を引き出して接触が始まれば、折りたり絞めたりする中国武術の技を披露することになる。 螳螂拳は目を突く術をよく使うが、螳螂拳との対敵方法を知っている人は、目を突く攻撃に対応したり防御したりしない。 相手の対応と防御も念頭に置いて進める「螳螂拳」の戦略の中に引き込まれるからだ。 目を突くのではなく、相手の手を引き出そうとする目的だ。
最近、中国武術式の戦闘スタイルが人気がなくなるのは、生活スタイルの変化も一因となっている。 中国武術の技術は清朝の長い弁髪、袖の幅が広い伝統式の服装を前提に成立したからだ。 現代の服装やヘアスタイルでは、相手をつかまえたり封鎖したりする技を使うのは難しい。 これは中国の武術がまだ前近代的であることを意味する。
そして、競技化があまり進んでいないことも、中国武術に対する偏見を強化する。 競技化のためには、試合に必要ないくつかの技術を抽出して標準化しなければならず、安全を保障する新しい保護装備が出なければならない。 柔道着のようにつかみやすい道着の考案も必要だろう。
自分が誰かを知らなければならない。
中国武術が実戦に弱い理由は、自分の戦略を知らないまま自分の長所を捨てて相手の特技を学ぶからだ。 中国武術がめちゃくちゃな打撃技と柔術技にならないためには、中距離戦闘という特性を理解し、中距離戦闘を遂行するための体を作らなければならない。 これには伝統式の方式もさることながら、現代スポーツ科学の成果を借りて効果的なウエートトレーニング法が開発されなければならない。日本でも古武術の身体操作法を研究し現代化しようとする人が多い。このような訓練法が開発されれば、それこそ現代のビジョンとして登場することになり、中国武術式格闘法が既存の武術界に新しい代案として登場するだろう。
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