中国の武術はなぜ実戦に弱いのか? – (2)

-実戦のための中国武術だけの戦略があるのか。

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中国の武術はなぜ実戦に弱いのか? – (2)

実戦のための中国武術だけの戦略があるのか

戦略と戦術は違う。 戦略とは、地図を見ながら戦争全体の姿を作る行為である。 反面、戦術は個別戦闘で使う作戦と言える。

果たして中国武術の戦略は何か。 まず、武術で戦略について調べてみよう。 テコンドーは蹴りを主にする武術である。 したがって、すべての練習体系と試合のルールもこれに合わせられている。 ボクシングの戦略は華麗なフットワークと力強いパンチだ。 柔術は相手を地面に持って行きながら本格的な技を展開する。 相手を倒すという発想そのものが、この武術の戦略だ。

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中国武術の戦略は、相手との間合いを中距離に維持した後、関節技と打撃技を同時に使うことだ。 中距離は手で相手の肩をつかめる距離である。 打撃で先制攻撃や戦闘の糸口をつかみ、相手を関節技で封鎖して地面に投げたり、関節を曲げて急所を打つなどの決定打を与える。 打撃技と関節技を有機的にそして効果的に使う中国武術の戦略は、僕たちがよく見るボクシング、テコンドー、ムエタイなどの打撃技武術とは違うものだ。 これはアイスホッケーとフィールドホッケーとの違いほど大きいのだ。 ゴールを決めるという目的は同じだが、そこまで行く過程は全く違う。

中国武術の修練者たちがボクシングのようにグローブをはめてムエタイのように蹴りをするなら、中国武術の戦略を全く理解できないことになる。 戦闘でも白兵戦では銃剣術を使い、さらに遠く離れたら銃を撃つか手榴弾を投げ、さらに遠く離れたなら大砲を使う。 目標が数千キロ下がったならICBMで爆撃をする。 このように個別戦闘で距離というのは、戦略そのものを修正しなければならない最も重要な要素だ。

中国武術の技は中距離で最も破壊的で効率的に技を展開することができる。 この事実を知らない中国武術の修練者たちは、ボクシングとテコンドーのように間合いを長距離で維持することで、相手の武術に戦略に巻き込まれて敗北してしまう。 そして中国武術は「かっこいいだけの技術」に転落してしまう。

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螳螂拳の透心錘

長距離で打撃技で先制攻撃をし、決め技は足をかけて相手を倒す。 以前の打撃技は相手を倒すための手がかりを作ることだ。 打撃技と関節技を同時に使うという中国武術の代表的な手だ。

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八卦掌の大鵬展翅

左右の手で連打をしながら相手との距離が縮まると相手を掛けて倒す。 八卦掌でよく使われる手法だ。

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太極拳の野馬分鬃

相手の脇に腕を入れて投げ飛ばしてしまう技。 この技術を使うには相手に密着しなければならない。 相手と接近するためには様々な「手がかりの技」を使用しなければならない。 この「手がかりの技」を効果的に使うことができなければ、中国武術は「足りない打撃技」に転落してしまう。

中国武術の中距離戦闘

ボクシングのような長距離、柔道のような短距離武術は周りで簡単に見られ、その武術の「間合い」については理解しやすい。 しかし、中国武術の中距離戦闘は、世界のどこへ行ってもめったに見られない「間合」だ。

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八卦章の搭手

中国武術の基本的間合は、自分の手首と相手の手首が組み合わさっている時だ。 中距離戦闘の核心は打撃技と関節技を同時に使うことだ。 手首と手首がぶつかった距離は、半歩下がれば打撃技を、半歩前進すれば柔術技が使える距離だ。 この間合は、合気道や大同流合気柔術の間合と似ている。

相手を折ったり絞めたりするテクニックは中国武術と合気柔術に共通共通しており、ある人は合気道が太極拳から影響を受けただろうと推測している。 しかし、「間合が同じ」というのは、使える技術が制限されるということだ。 つまり、間合が似ている武術は技が同じである。 相手が白兵戦をすれば僕も白兵戦を、相手が大砲を撃てば僕も大砲を撃つことは常識的なことだ。言い換えれば、中国武術はボクシングのような長距離打撃系の武術ではなく、中距離武術であり、合気柔術に似た立式関節技の武術だ。 ただ、合技柔術よりは打撃の比重が高い。

合気柔術や合気道は高度に競技化された武術だ。 競技化されたということは,よく大会を開くという意味ではなく,ルールがあり,そのルールに反するテクニックは排除されたということである。 合技柔術や合気道は、打撃技は排除し、関節技を中心に競技化に成功した武術だ。

合技柔術には蹴りもあり打撃技もあると抗弁する人もいるだろうが、果たしてその技が練習体系でどれほど比重を占めているのか、試合の間合が打撃技が成立する距離なのかを考えてみなければならない。 古式柔道にも蹴りもあり打撃技もある。 しかし、誰も柔道が打撃技の武術だと考える人はいない。柔道技術の核心はやはり打撃技ではなく柔術技だ。

日本の合気道と合気柔術を見れば、ほとんど関節器なので、実際の状況でこれらの技術が使えるのかという疑問を抱く人が多い。 実際の状況で相手は練習の時のように、自分の体を許さないからだ。 そして飛んでくる相手の腕をつかむことは、飛んでいくハエを片手で握ることより難しいだろう。 したがって、立式関節技の武術でノウハウは相手の腕をつかむのではなく、「つかまる状況」を作るのだ。 「つかまる状況」を作るのは、合気柔術と中国武術など立式関節技武術の共通の課題であり、この状況を作るのが実力だ。

現在、日本の柔術は打撃技がほとんど除外されている。たとえ記述目録の中には盛り込まれていたとしても、練習時には重要な位置を占めることはない。これは打撃技が柔術では使い物にならないという意味ではなく,合気道と合気柔術などの武術が高度に競技化されたという反証である

合気道と合気柔術は柔道とボクシングのように一部の技術だけを選定して競技をするようにした。 普通、過去の武術門派は総合武術を目指していたため、拳法はもちろん武器術まで含まれていた。しかし、武術の近代化-試合化をためには、武術門派の技術の70%程度を撤廃しなければならない。現代柔道と以前の柔道は技術体系が異なる。 現代の柔道は競技に適した技術を選定し、それが残っているのだ。その基準は現代のスポーツに相応しく安全で反復的に練習できるものでなければならない。

UFCのようなMMA競技はボクシング、レスリング、柔術などがミックスされた総合系格闘技だが、最近はこの競技自体が一つのジャンル化され、独立したスポーツになりつつある。 一つのレストランでスパゲッティ、刺身、中華うどんを一緒に売ることができるが、それぞれの料理が別々に出てくるのであって、一つの料理に融合してフュージョンされたものではないようにMMAではまだボクシング、レスリング、柔術などの独立した格闘技を状況別に使うのであって、一つのシステムとしてフュージョンされていない。

中国武術の戦いと最も類似した武術は日本の相撲である。 相撲は柔術系の武術だが、両者が離れて始めるのが韓国のシルムとは違う。 離れた状態で相手に近付いて柔術の技を使うのは、中国武術の修練者たちが参考にする点が多い。 現在、相撲は選手の大型化で体重で勝負する試合が多くなったが、軽量級の試合を見れば、華麗な技を多く使う。

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相撲の技

立式関節技の武術の最大のジレンマは、自分たち同士の試合は問題ないが、関節技だけでは異種格闘ができないという点だ。 ‘巧妙な擒拏が、拙劣な打撃のみがない’は、中国武術の武言もおり、合気道の創始者である植芝森平すら実戦では’打撃技が70%、関節技が30%’と話したことがある。 関節技が仕上げの手法としては有用だが、糸口の手法では足りない。 これが立式関節技の武術ですら打撃技の導入が切実な理由であり、中国武術は関節技と打撃技の有機的な調和をよくしていると評価できる。

よく「中国武術の蹴りは腰の異常を上げない」と言う。 これはハイキックが使い物にならないということではなく、使えないということであり、理由は間合のためだ。 極真カラテやムエタイの試合を見ると、ハイキックで勝負が決まる場合が多い。 ハイキックに対する恐ろしさは、これら武術にボクシングと違って手のガードを高く上げて防御できるようにした。 しかし、中距離戦闘である中国武術では相手との距離のため、足を腰以上に上げることも上げる必要もなくなる。

中国武術では腰から出るパンチが多い。 中国の武術家たちは、極端に「拳の故郷は腰」と言ったりする。 ボクシングの偏見に陥った人々は、これについて「非実用的な動作」と貶めるが、パンチが「腰」から出るのは、距離を相殺するための戦略だ。相手との距離が近いため、ボクシングのストレートのように一直線に伸びきれず、下から対角線へ上がらなければならないのだ。ボクシングとは異なる原理によってパンチを使うのだ。

伸ばしの手と引っ張るの手

人の腕には二つの用途がある。 伸ばすことと引っ張ることだ。 伸ばすことと引っ張る力を比べると、腕は引っ張る方がさらに多くの力を使うことができる。 人の腕は何かをひく目的で進化になった。 腕の働きの中で伸びる行為がパンチと同じだ。 パンチというのは「洗練された伸ばし」である。 それなら、押すことに劣らず引くことも立派な攻撃の技になる。 引っ張るものは関節技の系統の武術と柔術系統の武術から体系化して使われている。 ボクシングのように伸ばしの手しかないなら、人の体の機能のうち半分しか使えないものであり、半分の武術になることもある。

優れた武術には、伸ばしの手と引っ張るの手が適切に混ざっていなければならない。 中国の武術がそうだ。 人の体の働きをすべて使えるようにする。 しかし先決の条件がある。 中国武術の技術を無理なく使うためには、「中国武術を使うのに適した体」が完成しなければならない。

 

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